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カテゴリー「読書」の記事一覧
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ついに出ちゃいました。
ムニュさんのブログで知ったのですが、本邦初の『先代旧事本記』の現代語訳が出版されました。

■天の神庫も樹梯のままに。 : 衝撃の『先代旧事本紀 現代語訳』
■ 安本美典監修・志村裕子訳『先代旧事本紀 現代語訳』

流石にウチのサイトをご覧の方で『先代旧事本紀』の名前を聞いた事が無いという方は居られないとは思いますが、一応アカイイトやアオイシロとの関連性を挙げてみますと、アカイイトの用語解説「文石の長」で「鬼部(物部)一族に伝わる十種の神宝は剣一、鏡二、玉四、比礼(布)三からなる」説明されていますが、「十種の神宝」については記紀では話が無く、物部氏の伝承を載せる『先代旧事本紀』に具体的な内容があります。
また、アオイシロでは保美ルートで明らかに布瑠の言のアレンジと思しき言葉も登場します。

ムニュさんも仰っていますが、残念ながら訳者の志村裕子氏は専門家ではないらしいですが、古代史や物部氏に関しての研究で著名な安本美典氏の元で長年研究されているようで、80年代後半から数々の発表をなさっている方なので信用しても良いのかなとは思います。
たまたまですが、ミ○○ヴぁ書房の某ゼロからのとんでも事典のような、H田T彦氏の九州○朝説を高校教科書に載せろという、目を覆いたくなるような、まるで○流のようなゴリ押し理論を見せつけられた後だった影響もあるかも知れませんが(苦笑)余程良心的な内容に見えました。

大野七三氏校訂の『先代旧事本紀 注釈』は持っているのですが、私の場合、長文の翻訳となると怪しいので(苦笑)、現代語訳は非常にありがたいです。
これに索引でもあれば三浦佑之氏の『口語訳 古事記』のように簡易的な辞典にも使えて便利なのですが、流石にそこまで求めるのは贅沢でしょうか?
自分のように日本神話から古典に興味を持ち始め、記紀や『風土記』の次のステップにと考えている方には充分読みやすい内容になっていると思います。
当方も先日購入しました。

ただ、7140円という値段だけはネックですかね。
やはりこの手の分野に余程関心が強い方か研究者でも無ければ求め難い値段と言わざるを得ないですね。
吉川弘文社の『藤氏家伝』よりはマシですが、何で古代史関連の書って高いのでしょうね;;

『先代旧事本紀』を改めて読んで不思議に思うのは、神武天皇2年2月2日に『日本書紀』にはないフツノミタマを授かる話が載せられているぐらいなのに、何故、物部目の朝日朗征伐や、物部麁鹿火による磐井の乱鎮圧など華々しい出来事が省略されているのか、素朴な疑問を感じます。
朝日朗征伐は伝説っぽいとしても(余談ですが、谷川健一氏が『青銅の神の足跡』で「一目連」がもとは「一つ目の連(むらじ)」であったのでは無いかと面白い事をお考えでしたが)、物部麁鹿火の功績は物部氏歴代の中でも最高のものであると思うのですが。
確か麁鹿火の娘、影媛が真鳥鮪と通じていた事がよろしくないからという理由で割愛されたとか、何かの本(確か『歴史読本』の旧事本紀を取り上げている号だったような記憶が)に書いてありましたが如何なのでしょうね?

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現在体調不良で休業中。去年の冬から原因不明の謎の咳に悩まされているのですが、出向先の企業の部署移動を機に、暫く休養することにしました。たいした技術もある訳で無しに、フリーランスになったのだから仕事があるだけありがたく思えと自分に言い聞かせていましたが、出向先があまりにも遠すぎるのに無理に出勤し、体調も悪くなる一方でしたので。
まぁ気楽に考えて、忙しすぎて興味があっても出来なかった勉強を色々と出来る期間と、前向きに考えています。

取りあえずLPICというLinuxに関する資格のLPIC-level2の勉強中で、受ければ多分合格出来ると思うのですが、形ばかりの資格になっても仕方がないので、まずは実機で何回も構築を繰り返そうと思います。受けるかどうかはとにかくとして(笑)何かしら目標があった方が勉強はしやすいし、何時受けても大丈夫なように合格レベルはキープしておこうと思います。

しかし、Vmwareのおかげでこの手の勉強がしやすくなりました。
以前は最低でもPC2台でサーバ・クライアント環境を整えなければいけなかったのですが、PCのスペックさえ許せば複数のゲストOSを起動できるので、1台のPCでサーバ・クライアントの検証可能です。私のPCは8Gあるので、Debian4(古いですが)で構築したDNSのマスター・スレーブサーバー、メールサーバー、Webサーバを同時に起動しても全く重くありません。お蔭で検証用のちょっとした仮想ネットワークが容易に出来るようになりました。
以前はVmwarePlayerで編集するのに一手間必要だったのですが、今はそのまま使えるので楽になったものです。

・本日購入書籍
(1)『仮想化技術徹底活用』 島崎聡史 吉田佳宏 ビーナス・テクノロジ 秀和システムズ
「実務レベルの仮想化を体験・学習・実践する」というキャッチコピーは胡散臭いものの(笑)、取りあえずとっかかり程度にはなりそうです。

(2)『日経Linux 2013年5月号』 日経BP社
付録DVDに「シス管系女子」が全話PDFで提供しているのでわざわざ先月号を購入。
とても参考になるのでコミック化してくれないですかね?

5月9日拍手とコメントありがとうございます!

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・・・拍手のご返事はこちら

(1)『現代台湾鬼譚 海を渡った「学校の怪談」』 伊藤龍平/謝佳静 青弓社
(2)『隠された神々 古代信仰と陰陽五行』 吉野裕子 人文書院
(3)『大いなる邪馬台国』 鳥越憲三郎 講談社
(4)『神々と天皇の間』 鳥越憲三郎 毎日新聞社
(5)『日本古代の民族と国家』 水野裕 大和書房
(6)『古代日本正史』 原田常治 同志社

(1)以外は古い本が多いですが、もう手に入らないと思っていた本が結構手に入りました。

(1)はアカイイトをやった人にも面白い内容です。例えばアカイイトでは見鬼の術が出てきますが、台湾では陰陽眼という似たようなものがあるらしいです。
また、日本のヲタク文化などの受け入れられてきた経緯も語られており、日本文化の台湾における浸透ぶりがよく解ります。
あとがきでは、南台科技大学の学生さん達が東日本大震災でお亡くなりになられた方々の為に、日本の新聞の切り抜きに載っている人々の名前をお札に書いて、廟に収めたという話が載っていて感動しました。
しかもそのことは被災者の方々にお知らせしたのではなく、純粋に亡くなった方々の為に供養を行うためだったとのことです。
また、台湾からの義捐金は二百億円を超えたらしいのですが、民間からの支援は世界一であるらしいです。
去年は台湾ともギクシャクしていたかも知れませんが、(てか外省人が仕掛けたことなのでしょうが)このような好意があったことも我々日本人は忘れてはならないと思います。

(2)なんか吉野氏の他の著作で読んだような……良く調べてから買えと言う事でしょうか

(3)リメイク版ともいえる『女王卑弥呼の国』を持っているのでいらない気がしましたが、こちらの方が参考文献として挙げられることが多いので解った上で購入。

(4)あまり評判がよろしくない(というか支持しているのは自分が知る限り原田実氏ぐらいでしょうか?)葛城王朝説について載っている書籍ですが、真偽はとにかく面白いんですよね。鳥越先生の著書は物部王朝説といい、魅力的には感じるのですが。

(5)本当は『日本古代王朝史論序説』が欲しかったのですが流石に昭和27年発刊ですから手に入らんですか。
まだあまりよく読んでいませんが、実はネオ騎馬民族説と言われるのが嫌いっぽいですね。

(6)伝説のトンデモ本を怖いもの見たさで購入(爆)
しかし……これだけ酷い内容も珍しいですね。七十代の人が書いた文章としてはあまりにも稚拙で、品位にも欠けています。日本神話を女子学生が書いた御伽噺だと威張れるレベルなのかと。
日本に古代が無かったと述べますが、そもそも西暦何年頃の時代区分というものは国によって違うもので、スターリンの定式「世界史の基本法則」によって原始共産制→奴隷制(古代)→農奴制(中世)→資本制(近代)という発展段階で定式化され、戦後日本の歴史学界はこの方式に当て嵌め様としていたのであり、原田氏のようにイタリアの遺跡と比較して日本の古代というのが新しいから古代は無いという論は的外れであるのです。
この本を参考にした書籍というのもたまに見かけるのですが、曲がりなりにも商用で書籍を出せるような人が、どうしてこんな内容の本を参考にしているのかが不思議でなりませんね。
まぁ大歳=ニギハヤヒ説は大野七三氏の『先代旧事本記』に記載されており、(こちらも批判が多いようですが。元ネタは原田氏ですしね)以前から知っており、小説には都合がよかったので取り入れたこともありましたが、この本を読んでいたら絶対やらなかっただろうな。(苦笑) 

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皆様夏休みは如何お過ごしでしょうか。

私はフリーランスのエンジニア向けの仕事を紹介してくれる会社に登録しているんですが、そこに登録した時、IT一般知識のテストで満点を取って営業に今まで数人しかいないと驚かれたりしました。当方PC嫌いの(もちろんそんな顔はつゆとも見せずに)ITエンジニアですが何か?

という役にも立たんプチ自慢はとにかく、先週、自分が見つけた仕事を営業に取らせて、今回の案件を得たのですが、(営業は労せず1件実績になって得しましたね)
盆明けから新しい会社へ出向なので、付け焼刃の勉強中です;;
まぁアサイン前に勉強するのは当たり前の事で、今となっては苦にもなりませんが。
お勉強の為に買った書籍。

1)『SAN & NAS ストレージネットワーク理論』 W.Curtis Preston著 金崎裕巳 監訳 豊沢聡 オライリージャパン
2)『UNIX/Linux シェルスクリプト マスタリングハンドブック [第2版]』 野川准子 秀和システム
3)『Windows Server 2008 実践ガイド』 村嶋修一 著 技術評論社

1)エンジニアには鉄板と言えるオライリーの書籍。とはいえ内容がいささか古いと思ったら初版が2002年ですか。
うーん……OSとかWin2000の話ですし。しかし、今でもあんまり変わらん技術も多いので参考にはなりそうです。
2)コマンドのハンドブックは多いような気がしますけど、シェルスクリプトで手軽なハンドブックはあまり見かけないような気がします。使えそうなサンプルも多く、こんな本が欲しかったです。
3)2003なら仕事を含め、一通り構築の経験はあるんですが、今回の案件では2008が必要らしいので、取り急ぎ購入。
NAPとか2003には無かった物もやる予定ですが、それらについての説明もあるので助かります。

取りあえずこれだけでも構築やら設計の真似事位は出来そうです。
別にサーバー運用をやる訳じゃないんですけどね。
前の案件と全く関係無い内容ですが、こっちの方が遣り甲斐がありそうです。
にしても幾らフリーランスとはいえ、ちぐはぐなスキルマップです(苦笑
会社に言われた事だけして仕事やったつもりになるよりは自分で選ぶのがいいところですが。

話が変わりますが、安本美典先生の面白そうな本がありましたが、今はゆっくり読むどころじゃなさそうなのでやむを得ずパス。
ちらっと立ち読みしたら恐らく学者ではない所謂勝手サイトの引用をしていたのが驚きました。
手元に無いので具体的な話は出来ませんが引用文はもっともな内容だと思いました。
そういえば戸矢学氏がカンナビ氏のHPを引用に使っていたことがあったっけな?
名草戸畔の研究のなかひらまい氏もカンナビ氏に意見を求めていましたしね。
ムニュさんのHPブログとか引用されないのかな。

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(1)『定本 柳田國男集』 第11巻 筑摩書房
(2)『神樹と巫女と天皇 初期柳田國男を読み解く』 山下紘一郎 梟社
(3)『図説 日本民俗学全集 民間信仰妖怪編』 藤沢衛彦 あかね書房

(1)「神樹篇」掲載。如何にもフレーザーなタイトルに惹かれて購入。アカイイトと関係するか解りませんが、「天狗松・神様松」によると筑前宇佐美八幡宮の槐の神樹は神功皇后がご出産の際に槐の枝を逆さに立て取ったとか、槐の枝が安産のお呪いに使われたとか。アカイイトとはあんまり関係ありませんか(滝
しかし、柳田國男全集はハードカバーじゃなくてちくま文庫の文庫版を再発刊してくれませんかね。読みづらくて仕方ありません。

(2)よく解らん(1)のような柳田翁の書籍の現代語解説書
さりげなく使っている依代という言葉は折口信夫の造語と初めて知りました(滝

(3)かなり中途半端な印象。各項目の説明が短すぎます。

購入したわけじゃないのですが、最近になりようやく谷川健一氏の『青銅の神の足跡』読めました。「目一つの神の衰落」はアオイシロSS書く前に読みたかった内容でしたねorz 殆ど別の書籍で知っている内容ではありましたが。。。

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6月29日、友人と最後に食べた生レバーのたたき。
人の食い物まで規制するとは、政府は何様じゃいと、嘆きながら、「今年の西武はAクラスも無理諦めろ」と巨人ファンに言われ、秋山、中村抜きでも好調西武打線を舐めんなよと思いつつ、好調の上本選手を外して実績無しの外国人をいきなり5番に置くウルトラ采配に頭を抱え、やっぱり無理かと悲観的になり、いったい何のブログか解らなくなったので(笑)今日はこの辺で


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楽しい時間は短いもの、(と言っても遊びに行けたのは一日だけでしたが)連休終わってしまいましたね。
学生時代によく遊んだ街に行ったのですが、何年かぶりだったので、すっかり様変わりして、少し寂しく思いました。
あるイタリアンの店に行ったら「すいませんラストオーダーが終了しました」と言われ、確かに看板を見たらラストオーダーが数分前だったのががっかりしたりしてました;;

さて、今回は連休中に購入した主な書籍のご紹介です。

(1)『北斗の拳語録』 ブレインナビ編著 PHP文庫
(2)『文化人類学』 村武精一・佐々木宏幹 編
(3)『出雲神話の誕生』 鳥越憲三郎 講談社学術文庫
(4)『鹿と鳥の文化史』 平林章仁 白水社
(5)『簡単に作れる携帯サイト』 ホームページ・ビルダー編 MYCOM

(1)東京MXで北斗の拳の再放送をやっている影響です。いろんなキャラの名前が出てくるんですがシンと、レイとトキとラオウと……あとサウザーとカイオウぐらいしか覚えてませんでした(滝)なんでジャコウ様のような素晴らしいお方の名前を忘れていたのでしょうか(マテ)「てめぇら血の色は何色だ!」とか、「わが人生一片の悔い無し」など御馴染みの名言やらジャコウ様の「く…暗い」など(アニメではこの声好きでした・笑)
他にもいろいろ名言が載ってますが、不満なのはシンの最期の
「富も名声も虚しいだけ……俺が欲しいものは唯一つ……ユリアだーっ!!!」
という名台詞がありませんでしたね。
EDの「ユリア…永遠に」はケンシロウではなくシン視線の曲ということを最近知り、その切ない心情を思うと、この台詞は欠かせない気がするので、語録にも収集しておいて欲しかったです。

(2)学生向けに書かれた文化人類学のテキスト。硬い内容かと思いきや、黒呪術やら白呪術やら、ゲーマーにも興味を持たれそうな内容もありました。文化人類学者というと、古事記偽書説や葛城王朝説(積極的に支持している学者は見たことがありませんが……)などで知られる鳥越憲三郎氏ぐらいしか知らなかったのですが、(フレイザーは社会人類学者? どうも細かい違いがよく解らんですが)民俗学だけではなく、視野を広げてみようかと思います。

(3)(2)でも名前を出した鳥越氏の著作。まだ部分的にしか読んでいませんが、古事記の神代巻の三分の一が出雲神話で占められていることから、出雲というと大和朝廷に匹敵するほど巨大な勢力を誇っていたかのように思ってしまうが、考古学的調査結果や、出雲の史料をみると、大和朝廷とは比較にならないほど小さな一地方的部族集団を形成していたにすぎないとのこと。どうしても古事記の記述にばかり囚われてしまいがちなので、意外に思いました。

(4)蘇我氏に関する研究で著名な平林章仁氏の著書。まだ一部しか読んでいませんが、『蘇我氏の実像と葛城氏』にもあったように鳥霊信仰や喪葬に関して興味深いです。

(5)ブックオフで105円で買えたのですが、ビルダー10の時代の本なので内容が古すぎました。(苦笑)現在は携帯からスマホへの過渡期なのでCSSへの対応をどうするかなど、モバイル向けサイトの構成が迷いますね。

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以前アカイイトのSSで「太陽の舟」について書いたりしましたが、モチーフとなった珍敷塚古墳の壁画について少し気になった事があったので軽く調べてみました。

壁画の左側には太陽の下に軸に鳥が止まっている船を漕ぐ船頭、中央に蕨手文と三個の矢筒、右側に月と蟇蛙や盾を持つ人や鳥(烏?)が描かれています。
亡き首長の霊がアメノトリフネに乗って黄泉の国に向う光景を描いたものであるとか、松前健氏、千田稔氏のように『播磨国風土記』の天照大神の舟と結びつけて考える説があるようです。

太陽と舟の壁画はエジプトやヨーロッパなどにも見られるというのは納得出来るとして、三個の矢筒と蟇蛙が登場する意味を調べてみようと考えました。
古事記で登場する蛙に関する神話としては、オオナムチの前に現われた小さな神の名前を誰も知らなかったが、タニグクという蟇蛙が「クエビコならば知っている」と答え、クエビコに尋ねたところ小さな神の名前がスクナヒコナであると言うことを知ったと伝えています。
蛙は春に川やぬかるんだ泥土の中から自然に発生して、冬には泥の中に戻って冬眠し、翌年になると再び現れる死と再生の象徴と見なされているそうです。
と、これが多分一般的な解釈で、イマイチ納得しきれなかったのですが、矢と太陽、烏、蛙の組み合わせで中国神話の羿(げい)を思い出しました。

中国神話の伝えるところによると、十個の太陽が一度に現われた時、弓の達人である羿(げい)が九個の太陽を撃ち落したら、地上に落ちた火烏の足が三本であり、これがヤタガラスのモデルであり、十干のモチーフであることは紅紡でもご紹介させていただきました。
この羿の妻、嫦娥(じょうが)は元々は天界の女神でしたが、羿のせいで天界へ帰れなくなっていたため、夫を恨んでいました。
羿が天界へ帰るための霊薬を持ち帰ると、嫦娥は抜け駆けして羿の分まで霊薬を一人で飲んでしまいます。
霊薬の効果で月へ帰り着いた嫦娥でしたが、月に着いた途端、醜い蛙に姿が変わってしまったと伝えています。

縄文中期には蛙文の土器が多く造られているように、日本には嫦娥の神話も受け入れられやすい土壌があり、原型に近い形で表現されたのかもしれませんね。
日本神話で羿に近い存在というと天若日子を思い出しますが、関連性はあるんですかね?

参考
『伊勢神宮―東アジアのアマテラス』 千田稔 中央新書
『謎解き日本神話』 松前健 大和書房
『中国の神話伝説(上)』 袁珂/著 鈴木博/訳 青土社

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昨晩はサクヤさんが羅睺の力を発揮してましたね。
オリオン座の近くに見える紅い月を写そうとしたのですが、携帯のカメラでは無理でしたorz

話が変わりますが本日の読書。

『葛城と古代国家』 門脇禎二 講談社学術文庫

私が古事記で一番好きなエピソードは何かと問われれば、ツブラノオホミが何の縁の無いマヨワノミコを「幼い皇子を見捨てるのは忍びない」として護ろうとして、皇軍と戦い、潔い最期を迎える話だと答えますが、(日本書記だとあっさりとした描写ですが)葛城氏に関してそんなに詳しい訳じゃないんですよね。
いや、他の氏族に関してもそうですが(滝)

書店に行くと割りと物部氏に関連する書籍は多い気がしますが、物部氏よりも早い時点で歴史の表舞台から姿を消した葛城氏関連の書籍ってあまり無いですね。倭の五王関連の書籍では当然葛城氏について触れられていますが、どれも内容は似たり寄ったりの印象を受けます。

葛城氏の研究書でよく名前を聞くのは井上光貞氏の「帝紀から見た葛城氏」(『日本古代国家の研究』所収)あたりでしょうか? 内容的には古そうですが。
あとは平林章仁氏の『蘇我氏の実像と葛城氏』(白水社)あたりですかね。
何事でもそうですがネット評とか全く参考にしないので何が代表的な物なのか解かりませんが。

と、前置きが長くなりましたが、その内葛城氏の人物をモチーフにした小説を書きたい自分としては、もう一寸真面目に研究すべしと、門脇氏の書籍を購入しました。

水野裕氏をはじめとする河内王朝論や鳥越憲三郎氏の葛城王朝説に関する批判は興味深いものでしたが、(葛城王朝説を支持している学者は聞いた事がありませんが)、事の真偽を論ずる知識は私には無いのでそこはおいて置いて(苦笑)、アカイイトのファンサイトという性質上、やはり一言主に関する話が興味深いところかと。

雄略朝の一言主の神話に関して、葛城氏の領域に入れば天皇といえど地元の神に従わざるを得なかったという、これを直木孝次郎氏は大和国家と葛城氏による二頭政治であるという説に対して、この頃には既に葛城氏は大王家の首長層の一つになっていたと門脇氏は述べます。
二頭政治(というか有力豪族の領土においては豪族に従わなければならないという二重支配)に関しては吉備氏も絡めて考えみる必要がありそうです。

後の一言主信仰の変遷に関しては、和田翠氏の「葛城古道に鴨氏の神を追う」の一言主が役小角に呪縛された伝承を蘇我本家の滅亡に伴う一言主の衰退過程に形成されたという、この見方を支持されているようですが、本当に蘇我本家の滅亡に伴う出来事なら『続日本紀』にも載せていい様な気がしますが、何故『続日本紀』では役小角の事を讒言したのが韓国連広足であるのか、自分のような無学な者には解かりかねる部分があります。

鴨氏の出自である役小角は元々、一言主を封じたのではなく一言主を奉祭する立場にあったと考えるのが自然で、『日本霊異記』にみられるような後世の説話が仏教徒と葛城の神道勢力の対立を反映したとしたら、一言主の神話の変遷と蘇我氏の衰亡はあまり関係無いのでは……と思いますが。

話が違いますが、雄山閣の日本氏族研究叢書で『葛城氏の研究』が刊行予定になっていますが、『物部氏の研究』以外出版されないんですかね? 結構期待しているんですが物部氏の研究が4410円って高かかったので、同じぐらいだとしたら買うかどうかは微妙ですけどね。

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